ハイブリッド風力発電システムの系統連系運転における電力制御の一方式

摘要

電流形サイリスタインバータと同期発電機により構成されるハイブリッド風力発電システムの系統連系運転における電力一定制御のための一方式について，実験的検討を行った。本方式を用いることで，風速の変化により大きく変動する風力発電による出力を，他のエネルギー源により駆動される同期発電機の出力により補償し，系統出力の有効電力だけでなく，無効電力も一定に制御が可能であることを確認した。また，この電力制御の基本原理を，システム出力部の等価回路と，電圧および電流の基本波のみを考慮したフニーザ図により検討した。本検討では，高調波成分を無視しているにも拘らず，実験と計算結果の傾向は良く一致しており，本文における電力制御の基本的な理論の妥当性が確認できた。本ハイブリッド風力発電システムは，風速の変化に伴う発電出力の変動に対する調整能力を電力系統に依存する必要がない。さらに電流形サイリスタインバータが必要とする進み無効電力も，電力系統から供給する必要もない。このため，一般に風力発電の適地とされる，都巿部から離れた地域の，末端の比較的弱い電力系統への風力発電の導入に適していると考えられる。