永久磁石と中空陰極を用いた有人火星探査用大電力電磁プラズマ加速ロケットエンジンの開発研究

摘要

大阪工業大学では，2012年度から宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で電磁加速プラズマエンジン(Magneto-Plasma-Dynamic Engines以降MPDスラスタと表記する。）を研究している。近年では，有人火星探査や月面基地建設など，高比推力が必要となるミッションが計画されているため，本学では，大電力化が容易で多くの推進剤で動作できるMPDスラスタに着目した。これまでのMPDスラスタは，ソレノィドコイルによって外部磁場を印加していたが，ソレノイドコイルは，冷却水などを用いた冷却が不可欠であり，スラスタシステムが複雑となり，実用化が困難とされている。そのため，本学で開発したMPDスラスタは，システムをより簡単にするために，ソレノイドコイルではなく，永久磁石を用いて外部磁場を印加している。また推進性能の上向と安定動作を目標として，電極の損耗にも着目し，シングルホローカソードとマルチホローカソードを設計•開発した。本研究の最終目標は，推進性能において推進効率40％以上と比推力3,000s以上を達成すること，さらに冷却水なしの輻射冷却式MPDスラスタを開発することとする。