太田川放水路の河岸沿い干潟の洪水流による形状変化

摘要

太田川は下流域においてデルタを形成し，太田川放水路と5つの市内派川（旧太田川，天満川，元安川，京橋川，猿猴川）に分派し，潮位変動が大きい広島湾に流入している（図-1）.太田川放水路は広島市中心部の洪水被害を軽減するため，山手川およ島川を浚渫·開削して造られ，工事は昭和9年に着工し昭和42年に概成した.太田川放水路は人工的に造成された河川であるものの，最大4mにもなる潮位変動や洪水流の影響を受け河岸沿いに干潟が形成されている.河岸沿いの干潟には，ハマサジゃフクドなどの塩生植物群落が広島湾域で唯一まとまって形成され，アサリゃャマトシジミなどの潮干狩りも行われ貴重な場となっている.一方，太田川放水路では河岸沿いに緊急用河川敷道路を整僃する計画が立てられ，その際には河岸沿いの干潟の一部を埋め立てすることになるため，干潟環境を保全·再生した上で緊急用河川敷道路の整僃を行うことが求められている.