横振動下における舶用タンク内部の極低温液体の温度・圧力・蒸発量測定

摘要

近年の様々な環境問題を受けて、再生可能エネルギーから得られた電力を水素に変換して貯蔵する方法が現在注目を集めている。水素は利用段階で二酸化炭素を発生させず、水のみを生成するという究極のクリーンエネルギーであるので、政府は水素戦略ロードマップ1)を掲げ、水素社会を実現しようとしている。そのために、液体水素(LH2:沸点20 K)を海外から船舶を用いて輸送するプロジェクト2)が進行している。なぜなら、水素を気体から液体に状態変化させることにより、体積が約800分の1になるため、一度に大量貯蔵・輸送することが可能となるからである。この場合、液体水素の海上および陸上輸送時における振動などによって生じる蒸発損失などを明らかにすることは、液体水素の貯蔵・輸送時における安全性及び経済性を検討する上で極めて重要である。