踏切設備用地絡電流遮断装置の開発

摘要

電車に電力を供給する設備である変電所および電車線路では、雷撃、飛来物、鳥、ヘビ、倒木などにより地絡事故が発生する。このとき大地に流出したき電電流が信号設備に流れ込み信号設備が焼損することがある。地絡事故は変電所で電流の大きさや変化量を監視する現在のシステムでは確実に検知することが困難である。このため地絡電流は長時間（秒単位、分単位）流れることがあり、被害が大きく拡大する傾向がある。これに対する信号設備側の対策としては、信号機器室を対象とした信号地絡保護装置が近年開発され、交流電化区間において採用されている(1)。しかし踏切設備においては地絡に対する保護装置はなく、雷害対策用の保安器に保護効果を期待しているのが実態である。このため地絡時には保安器の焼損が生じ、地絡事故の持続時間によっては制御子等に被害が及ぶこともある。そこで著者らは、踏切設備に侵入する地絡電流を遮断する簡易な装置を開発したので紹介する。