単相誘導電動機の補助巻線電流制御による始動特性改善

摘要

単相誘導電動機（以下SPIM と略記）は構造が簡単で堅牢であり，かつ安価であるという特徴から産業および家電製品において広く使用されている。SPIM は単相交流単独では始動トルクが得られないため，何らかの方法で回転磁界を生成する仕組みが必要である。始動法は種々あるが，比較的大きな始動トルクを得たい場合にはコンデンサ始動法が用いられる。この始動法では，より大きな始動トルクを得るため，大容量で安価な交流用電解コンデンサを用いるのが一般的である。しかし，SPIM と一体として搭載される電解コンデンサはその熱により寿命が短くなるという問題がある。また，定常運転時には効率低下を防ぐため小容量のコンデンサに切り替える遠心力スイッチが必要となり，この機械的可動部の存在が故障の原因にもなりうる。そのため，遠心力スイッチを用いない始動法やコンデンサを用いない始動法が提案されている。また，インバータ駆動により特性を改善する研究もあり，トルクを大きくすることも可能だが低コストである電動機に対してインバータが高価であるという問題がある。