貯留水ヒートポンプの利用可能性に関する研究(その5)実験による自然対流の検討と受熱量比マップ

摘要

著者らは、瀬戸内地方に多数賦存する農業用のため池や調整池、貯水地（以下、貯留水）を未利用エネルギーのひとつと捉え、ヒートポンプの熱源として熱交換器を介し間接的に利用するシステムを検討してきた。既報では鉛直水柱模型により夏季の温度成層状態を再現し、底部にヒーター放熱を与える際の自然対流や温度の変化を実験により明らかにした。しかし、放熱器に対して充分な容量が確保できなかったため、水平方向への熱拡散は検討できていない。また、実スケールでの放熱過程については数値シミュレーションによる検討にとどまっている。そこで、本報では水平方向に充分な容量を有する実験槽を用いて夏季の温度成層状態を再現し、底面から放熱を与えることで、ヒートポンプ運転時の排熱による自然対流の挙動を観測する。具体的には放熱量と初期境界面高さをパラメータとし、それぞれが水温変化に与える影響を確認する。また、CFD解析と実験結果を基に、後述する受熱量比マップを作成し、自然対流発生時の空間的な熱量分布を簡便に表示する方法を提案する。