抗生物質の河川底質への収着特性

摘要

人が使用した抗生物質が水環境中に流出しており水生生物への影響が懸念されているため、水環境中での挙動を明らかにする必要がある。抗生物質のアジスロマイシンとレボフロキサシンは、河川において底質への収着により速い速度で濃度が减少することが報告されている。そこで本研究では、アジスロマイシンとレボフロキサシンの河川底質への収着機構の解明を目的とした。対象物質は、河川水中では分子内のアミノ基が正電荷を帯びているため、収着機構の1つとして、底質中の負電荷サイトに収着している陽イオンとの交換吸着反応（陽イオン交換)が挙げられる。陽イオン交換反応では、吸着競合する陽イオンの種別により、平衡定数が大きく異なるため、本研究ではナトリウムイオンとカルシウムイオンを競合イオンとした場合の対象物質の収着平衡定数を評価した。また、強塩基性溶液中では対象物質のアミノ基は帯電しないため、収着平衡定数のpH依存性についても評価を行った。