高出力HEV への分布巻モータの適用検討

摘要

本論文では実機データを基に分布巻および集中巻モータのトルクや損失などの全長に対する感度ついて検討を行った。分布巻モータの試作を行い2D 解析と比較した結果，弱め界磁制御かつ高出力の範囲でトルク特性に乖離が生じていたが，コイルエンド部をモデル化した3D 解析を用いることにより実機と3D 解析はほぼ一致することがわかった。各種特性検討を行った結果，本条件化では要求トルクが500Nm 以下では集中巻，それ以上では分布巻が有利になることを示した。効率面では銅損が主となる条件では，コイルエンドが小さい集中巻が有利となるものの，弱め界磁制御を適用する高回転領域ではモータ全長が短い場合は分布巻，長い場合は集中巻が有利となった。連続性能面は低回転領域では集中巻が有利に，高回転領域では効率と同様にモータ全長が小さい場合は集中巻，長い場合は分布巻モータが有利となった。以上のことから，集中巻と分布巻のどちらを選択するかは，限られたスペースで要求されるトルクにより決まる場合もあれば，スペース上どちらも選択可能である場合は重視する特性により決まる。