運行実績データに基づくバス到着時刻予測モデルの開発

摘要

近年, 自家用車の利用数増加や, 人口の減少により, 地方圏の公共交通機関利用者が減少している[1]. 利用者の減少により, 交通事業者の収益が低下し, 路線の廃止・減便が発生している. 路線の廃止・減便により利便性が低下することから, さらに利用者の減少に繋がるという悪循環が生じている. この悪循環の中で, 路線バスに生じている利便性低下には, 対策の一つにバスロケーションシステムがある. バスロケーションシステムとは, バスに搭載したGPS(Global Positioning System)から現在の位置情報を取得し, バスの現在位置や到着予測時刻を利用者に提供するシステムである. どの路線のバスがいつどの停留所に到着するかを把握できるため, 利便性向上の一助になる. しかし, 問題点として, 到着予定時刻の予測精度が不十分であることが挙げられる. 予測結果が実際の到着時刻と異なる場合, 待機時間の増加やバスに乗り損ねる事態が予想され, かえって利便性が低下するといえる. 遅延要因には, 道路状況や天候, 乗車人数等様々な要因が考えられ, 予測精度向上にはこれらを考慮する必要がある.