大流量CO_2吹付け半波アークに対する合成試験

摘要

SF_6は高いアーク消弧能力および絶縁耐カを持つことから，ガス遮断器用の消弧ガスとして用いられる。しかし，SF_6は高い地球温暖化係数(GWP)を持つことから，排出 削減対象ガスの1つに指定されている。現在では使用後の SF_6は多くの場合回収•リサイクルされているが,これに は高いコストがかかる。このことから，SF_6レス遮断の実 現や，SF_6を使用しないアーク消弧手法の開発が強く望ま れている。近年，CO_2とフルオロニトリルの混合ガスであ るg~3 (green gas for grid)や，CO_2+0_2とフルオロケト ンの混合ガスがSF_6の代替ガスとして注目されており， SF_6レス社会実現への期待が高まっている。これらの代替ガ スのベースガスであるCO_2は，単体でも比較的良好なアー ク消弧能力を有するが，未だ基礎特性に関する研究は少な い。そのため，高精度な実験的検証による現象把握，および 精細な数値解析による現象理解の両方が求められる。実験 的な検証方法として，筆者らは直流電流源とパワー半導体 の一種であるIGBTを利用したスイッチングを，アークの 減衰および減衰アークへの電圧印加に適用し，多回数の放 電試験を実施する方式を提案してきた。これまでの実験 では，アーク電流•電圧測定，レーザトムソン散乱（LTS) 法およびシャックハルトマン型波面センサーによる電子密度測定を行い，各種ガス吹付けアークの特性に関す るデータ取得を行った。数値的アプローチとしては，実験 で用いる放電空間を想定した電磁熱流体解析を行い，得ら れた温度分布やアーク電圧，電子密度の計算結果を実験結 果と比較することで，より正確な計算モデルの構築を試み ている。これまでに，各種ガス吹付けアークの三次元的挙 動の解析を行うなど,複雑な現象も視野に入れた検討を 行う準備が整いつつある。