物品販売店舗における激震後の全館避難の群集制御に関する研究その１：ヒアリング調査に基づく階段使用パターンに着目した避難誘導シナリオ

摘要

不特定多数の在館者が想定される商業施設において、大地震時には全館避難を余儀なくされる可能性が高く、避難誘導が適切になされない場合、避難時の混雑や混乱による二次災害の危険性も高まる。著者らは2011年東北地方太平洋沖地震後の仙台市内の百貨店（以下、Ｍ百貨店と記す）における避難誘導状況について現地ヒアリング調査を実施した。本研究では、その結果に基づき、避難シミュレーションを用いて、M百貨店における当時の避難状況を混雑度に着目して再評価し、より有効な激震後の全館避難シナリオを考察することを目的とする。その１では、ヒアリング調査に基づく避難状況と課題の整理と、避難シミュレーションの前提条件について述べる。