空気抵抗を考慮した板の自由落下と振動性状

摘要

近年，大規模集客施設に於いて吊り天井の落下被害が数多く報告されている。このような被害に対して,吊りボルト相互を補剛材で連結し水平方向の揺れを押さえる対策や，天井面と周囲との壁等の間に十分なクリアランス(隙間)を設ける対策などがなされている。しかし，天井材が落下に至る機構は様々であり，その直接的な原因は解明されていないため，現在も様々な研究がなされている。その中で，クリップのすべりに着目した研究があるが，クリップの摩擦係数が0.3から1であるため，水平方向のみの力ではクリップにすベりが生じるとは考えにくい。一方，鉛直方向の振動を考えると，構造体と吊り天井の固有振動数の違いの他に，天井材は構造材に比べ軽く，広い面積を覆っているため空気抵抗も影響し，屋根面と天井材は同位相で振動するとは限らない。