ACMを用いたハイスループット衛星通信システムにおける中継器非線形補償の検討

摘要

近年, 周波数資源のひっ迫からKa帯以上での広帯域を使用する衛星通信への関心が高まっており，欧米の高スループット衛星（HTS）通信システムにおいて，多値変調方式を用いた適応通信が使用され，通信システムにおける周波数利用効率の向上が図られている．ヨーロッパ(ETSI)で規格化されたDVB-S2(S2X)は BPSKから 256APSKまでの変調方式が設定され，種々の性能評価が行われている．中継器の非線形歪みの影響もその一つであるが，多値数が多くなると非線形歪みにより BER 特性が劣化するため，多値変調を使用した ACM による周波数利用効率の向上が期待できなくなる．また，複数の信号波が中継器にて共通増幅された場合，相互変調雑音（IM）が生じて，周波数配列によって干渉が生じ信号品質が劣化する．周波数配列を適切に選択することでIMの干渉を低減できる．