宇宙デブリ衝突による人工衛星ミッション終了リスクの定量化

摘要

人類の宇宙活動の拡大に伴って，宇宙デブリの数も爆発的に増加しており，持続的な宇宙活動を実現する上での大きな障壁となっている．サイズが10cm以上の物体は地上からの観測により軌道が特定されているため，CSPOCのCDMにより，オペレーターによる回避マヌーバーが実施可能である．しかし，サイズが10cm以上の物体は，軌道上に存在する全物体のごく一部であり，大半を占める10cm以下の物体については，追尾不可のため回避できないのが現状である．特に，1mm~10cmの物体は，運用中の人工衛星に衝突するとミッション終了ダメージを引き起こすとされており，また物体数も1億にのぼると推定されていることから，大きな脅威と考えることができる．例えば，1.0mmのデブリが衝突すると，0.5mmのアルミ板を貫通する．軌道上には多数のロケット上段機体やミッションを終えた人工衛星が取り残されており，今後もこういった物体が衝突・爆発を繰り返し，デブリがさらに増加することが懸念されている．