2台のパラメトリックスピーカの配置による音像定位の検討:上方配置について

摘要

これまでの検討で最も優れた定位感を示したパラメトリックスピーカの配置（方位角±60°、スピーカと聴取者の距離120 cm）においてスピーカと聴取者の仰俯角を変更し、HRTF を畳み込hだピンクノイズを用いた前方方向定位試験で、音像定位にどのような差異が見られるのかを検討した。音像は全体的にHRTF の角度の方向に定位している。スピーカと聴取者の仰俯角を変更した場合の正答率の差は最大でも10 ％程度となっており、0°に近い部分の回答のばらつきは比較的小さくなっている。以上のことから、方位角±60°、スピーカと聴取者の距離120 cm 配置から仰俯角を＋30°〜-30°の範囲で変更しても前方の音像定位に大きな変化はないことがわかる。しかし、個人差が見られる角度もあるため、最適な配置が個人によって違う可能性も考えられる。