超高感度磁気計測と画像再構成理論に基づく埋め込み型防犯ゲートシステムの開発

摘要

近年、日本国内において、刃物、銃器等が用いられた凶悪事件が多発しており、これらを未然に防ぐために、最先端技術を駆使した次世代型防犯システムの開発が急務となっている。従来のミリ波を用いた防犯ゲートは、検出回避可能な手段も広く知られ、形骸化しているのが現状である。本研究では、屋外の壁やゲートのコンクリートや地面に埋め込み、犯人に気づかれない状態で刃物や銃等を検出可能な、埋め込み型防犯ゲートシステムの実現を目指している。これまで、１次元配列された超高感度磁気センサを通路内に配置し、磁気センサアレイを1次元走査することによって磁場の空間分布を取得し、我々が開発した磁場の基礎方程式の逆解析理論を用いて、刃物等、強磁性体近傍の磁場の空間分布を映像化するシステム(Fig1) の開発を実施してきた。本研究では、刃物以外に、日常的に持ち歩くことが想定される強磁性体から成る物体と刃物の画像比較を行い、画像判定の基準作成の元となる基礎データの取得を実施した。Fig.2 に、カッターと鉈を測定した結果を示す。正確な比較を実施するために、防犯ゲート内に１軸走査ステージを設置し、等速でカッター、鉈を磁気センサアレイから8 cm 離れた距離で通過させ、磁場分布の測定を行った。測定結果を境界条件に画像再構成理論により再構成したカッター、鉈近傍の磁場の空間分布をFig.2 に示した。この結果から、画像に明瞭な差がみられ、鉈とカッターの識別が可能であることが分かる。講演では、本システムの原理の詳細に加えて、様々な測定対象を映像化した結果について議論する。