ナノダイヤモンドを複合した新規リンパ系MRI 造影剤の開発

摘要

磁気共鳴イメージング (MRI)によるリンパ系イメージングのための造影剤が求められている．皮下注射された造影剤粒子がリンパ管内に選択的に取り込まれるためには，3 nm 以上の粒子直径が必要である．一方で，粒子がその後，腎排泄されるためには直径10 nm 以下でなければならない．先行研究では，図1 (a)のように直径5 nm 程度のナノダイヤモンド (ND)粒子を直径0.2 nm 程度の既存造影剤であるガドリニウム (Gd)錯体 (Gd-DTPA)に複合したGd-DTPA-ND 粒子が作製された．しかし，これらの粒子は水や血漿中でマイクロスケールの凝集塊を形成する問題点があった．よって本研究では，表面の酸化処理により親水性のカルボキシル基を多数導入した，カルボン酸修飾ナノダイヤモンド (CND)に着目した．図1 (b) のようにCND をGd 錯体に複合することで，水や血漿中で分散する新規造影剤の作製を目指した．