三次元無線給電システムにより駆動する空中浮遊デバイスに向けたペイロードと給電効率の検証

摘要

ユビキタスコンピューティングの理想は人間が意識することなく，環境が人間を支援する形態である．その形態の1 つとして，屋内の空間中を自由に移動する 浮く" デバイスが求められる．例えば空間の任意の場所に配置，移動させることが可能な浮くLED ライトが実現されると，室内の照明位置をプログラマブルに変更することや，明かりを照らしながら歩行者に追従し歩行誘導するといったことが可能になる．しかし従来のデバイスの多くは決まった場所や平面内に使用を制限され，空間中を安全かつ無制限に駆動することは困難であった．そこで本研究では上記の問題を解決する方法として，ヘリウムを封入したバルーンドローンに受電用のコイルを装着し，マルチモード準静空洞共鳴方式(Multimode QSCR)による三次元無線給電を行う屋内空中浮遊デバイスを提案する．このような方法を用いてデバイスを設計する際に，制約となるのはペイロード（バルーンにより浮遊可能な積載量）と出力電力である．ペイロードは主にバルーンサイズ，出力電力は給電効率に依存し，給電効率は搭載するコイルのサイズ，導線の太さ，巻き数に依存する．本研究ではバルーンのサイズとコイルの構成を変化させた場合の利用可能なコイルの重さを除いたペイロードと給電効率を調べ，その関係を示した．