近代中国青島市における青島地所建物株式会社の不動産事業

摘要

中国青島市は山東半島の南側に位置する港湾都市である。大正3（1914）年11 月に日本は日独大戦の勝利により、ドイツの租借地である青島の支配権を手に入れた。同年12 月28 日に、日本青島守備軍司令部は新市街地を建設すると共に青島を一般に開放し、土地の安売りや土地税の減免などの優遇措置を講じて、日本国内はもとより、満州、朝鮮などの日本人をも誘致した。移住してきた日本人は同年12 月末に3,619 人で、翌年2 月末には7,364 人になった。1921 年には24,500 人以上となり、当時の青島の市街地人口の八分の一に達した。このような邦人の増加に伴い、居住や商業などの問題を解決するために、日本人経営の総合デベロッパーが生まれた。その中で、当時最も有名だったのは青島地所建物株式会社（以下、青島地所建物）であった。