ヨシ葺き大屋根のワークプレイス: 西の湖回遊路計画 その3

摘要

滋賀県近江八幡市は，伝統建造物群保存地区，旧安土町である東側に安土城跡とそれらに挟まれるように美しいヨシ原に囲まれた西の湖が位置し，独特の伝統的文化景観や生活様式および自然景観の双方に恵まれた地方都市である。西の湖の湖岸に自生するヨシは古くから生活を支える貴重な資源でもあった。しかし，現在は習慣，産業の衰退により，ヨシの需要が減少しており，ヨシ原の放置による富栄養化等の水質の悪化，汚染も懸念されている。したがって，ヨシの活用は，地域文化や環境の保全にとって必要であるだけでなく，景観や観光資源の再生という観点からも重要な課題であると言える。以上を背景とし，我々のチームはこれまでヨシの活用において研究を続けてきた。2018 年においては，BIWAKO ビエンナーレにヨシを使用した作品を出展した。古民家・空き家を利用したアートイベントであったが，作品の制作するにあたって，交通・宿泊・制作場所の不足等の問題が浮き彫りになった。