家具配列に表れる人の行為の層への振り分け住宅作品における家具配列の建築部位による分節（１）

摘要

近年、居室の境界と間仕切り壁や建具が一致せず曖昧となっている住宅作品が多くみられる。それらの住宅では、部屋に限定されていた人の活動や行為が、集団に共有される場や、個人に占有される場で重なることから、そこでの暮らしの実体は、捉えどころのないものとなっている。しかし、人の行為は家具に、その重なりと距離感は、建築の部位のつくり方に定着されていると考えれば、これらの配列と分節を明らかにすることで、現代の住宅の空間とそこでの生活の在り方も知ることができる。そこで本研究では、家具の種類から人の行為を捉え、それらのあいだが建築部位による分節を検討することから、現代日本の住宅作品における場のつくり方と分節形式の一端を明らかにすることを目的とする。本編では、家具配列にみられる人の行為の層への分節と振り分けについて明らかにする。