西山夘三による日本万国博覧会会場基本計画（1966）の特徴

摘要

西山案の全体構成は、博覧会における特殊なマス流動への対応と、「人間交歓」［49］などのテーマを表現するために、観客の集約と拡散を目論hだものといえる。また会場および会場内の要素で博覧会のテーマを表現することが意図されたために、「お祭りひろば」のような独自性の強い要素が会場計画の主題として設定され、中心となるゾーンもサブテーマを具現化するものとされた。地形のとらえ方については、既存地形をなぞったような複雑な形状の人工湖の輪郭に顕著だが、地形の形態に会場構成における意味的な主題は設定されていなかった。つまり地形は「自然の地形をできるだけ尊重」したことを示すために対処しなければならない与条件であり、その設計に特別な意味は込められていなかったのである。こうした特徴は、「topography」の操作と洞察が会場計画の主題であり、会場内の具体的要素ではなく会場全体がテーマを表現すると考えられた増田案とは大きく異なるものであった。