「久米式耐震木骨構造」を用いた作品に見られる特徴

摘要

昭和初期には木造建築の近代化に関する多様な取り組みがなされたことが知られており、その1 つに「久米式耐震木骨構造」がある。これは久米権九郎2)（1895-1965 年）が1929（昭和4）年にシュトゥットガルト州立工科大学に提出した博士論文 で発表した木造建築の新構法で、3 年後の1932（昭和7）年に最初の作品4)が竣工した。この木骨構造法については、軽井沢万平ホテルアルプス館（1936 年) などの著名な作品に用いられ、小断面部材を組み合わせるなどの特徴を持つことが知られている。本稿では、「久米式耐震木骨構造」に関する資料を悉皆蒐集し、かつ株式会社久米設計に保管されている図面 を分析して「久米式耐震木骨構造」の作品に見られる特徴を明らかにした。