初学者への意匠設計テキスト教材の試行: 実践的な住宅設計技術技能習得のための教材開発

摘要

テキスト教材を試行して、テキストアンケートおよび演習内容を分析することで、次のことが明らかになった。（１）教育効果　学生と社会人共に「規模算定」の教育効果が高く、学生は敷地と建物との関係で、社会人は室内空間での教育効果が高い。初学者は、生活経験の差で教育効果に違いがある。（２）屋外配置計画演習の効果　初学者でも建物・庭・駐車スペースといった少ない要素にも関わらず、55 種類の配置の型を計画している。ビルドインガレージとして駐車スペースを確保しているケースもあり、多様な配置計画がある。配置計画の型は、教員が本テキストを使って初学者へ設計指導する際の参考資料として利用が可能である。（３）シーンの想像によるチェックシートの効果　初学者は、建物の内部を設計していないにも関わらず、庭と建物間で多くのシーンを想像できる。一方、初学者はテキストに記載しているシーンを中心として想像している。今後は、具体的で詳細な事例を増やし、そのイメージに誘発されて連想するシーンをイメージさせる指導プロセスにすることで、初学者がさらにイメージしやすくなると考えられる。（４）テキストの改善箇所　最終図面における不適合箇所を抽出した結果、階段の手摺や採光などの階段関係、玄関ポーチ関係、家具の大きさと配置する空間の大きさなどについて、テキストの改善が必要である。また、テキスト教材による設計教育だけでななく、並行して実際の家具や空間の大きさを測り、実体験することも設計初期教育には重要であると考えられる。