ベトナム現代建築における地場素材と生産方式現代ベトナムにおける建築と都市に関する研究（1)

摘要

現在ベトナムでは、急速な経済発展とともに、都市開発や大規模建築の建設により建築資材が高騰し、外国の建設企業も参入している。その一方で、住宅等の小規摸な建築や若手設計事務所による建築作品では、地場素材を使用し風土や気候、経済にも配慮した建築デザインが国際的に注目されている。そこでは、建築単体のデザインだけでなく、素材の流通から施工までの生産に関与することで、地場素材の集合としての建築デザインが実践されている。そこで本研究では、ベトナム現代建築における地場素材の集合としての建築デザインを明らかにすることを目的とする。まず本編では、地場素材の種類および、それらの設計施工と素材の流通経路からみた生産方式を検討する。次編では、素材の使用部位による意匠の類型を導くとともに、本編で導いた生産方式と重ね合わせることで、意匠と生産からみた地場素材の集合のデザインを明らかにする。(図1)