明治・大正期の旧新潟町における花街の変遷: 料理屋・待合及び貸座敷の集約に着目して

摘要

古町花街は現役で、歴史的景観が残る料理屋中心の花街(狭義) として貴重である。旧新潟町の広域に存在した花街が明治期に遊廓と分離したことで、芸妓の町としての古町花街が成立したとされる。しかし、その成立に至る詳細は明らかでない。そこで本研究は、明治・大正期を対象に、料理屋・待合、貸座敷の集約に着目し、旧新潟町における花街の変遷を明らかにすることを目的とする。　既往研究には、昭和初期以降の古町花街を対象に、敷地単位で花街建築の分布の変遷を明らかにした研究がある。本研究は旧新潟町全域を対象とし、料理屋・待合に加え貸座敷を扱う点、芸娼妓の分離前後をともに扱う点に特徴がある。調査は史料14点(表1)を主に使用し、それらの比較とヒアリングにより行う。