富山県旧砺波郡における町家の分布状況及び外観特性: 二階高・登り梁及び袖壁の組み合わせに着目して

摘要

都市での生活や、文化を伝える貴重な資源のひとつに町家がある。また、地域ごとに成立事情が異なるため、町家の外観には固有の特徴がある。しかし、複数の町場を対象とした町家の外観に関する研究は少なく、同様の特徴をもつ町家の分布は明らかになっていない。富山県では、高岡市金屋町及び南砺市城端の両町場において、二階高が低く、登り梁構造( 以下、登り梁) で袖壁を有する外観の特徴が類似した町家が確認されている。したがって、両町場の間に位置する旧砺波郡の町場でも、同様の特徴を持つ町家があることが推察される。また、町家を地域固有の資産として保全するためにも、外観の特徴を把握することは必要であると考える。そこで本研究は、旧砺波郡を対象に登り梁と袖壁を有する二階高の低い町家の分布状況、及び外観特性を明らかにすることを目的とする。