寒冷地の良質な住宅ストック形成に向けた住宅性能の把握に関する研究: その2 初期北方型住宅の断熱性能・気密性能の劣化

摘要

近年、北海道では高断熱住宅の建設技術が進歩し、国の省エネルギー基準を上回る性能の住宅が建設されてきた．一方，都市部への人口集中や、少子高齢化等によって，既存住宅が空き家となるケースが多くなってきており地域の維持にとって深刻な問題となってきている．既存住宅は耐久性や断熱性能の面で問題が多く，そのままでは流通できない，また，寒冷地の場合，部分断熱改修では，湿害によって著しい劣化が生じる場合があり，慎重な設計，施工が要求される．そこで，北海道R住宅では，既存住宅ストックを全面改修することで，現代の住宅性能レベルまで引き上げ，その際の工事費には長期ローンをあてるビジネスモデルを開発してきており，現在では，年間約100件の実績があり，独自の住宅金融の開発によって，このスキーム内での建設数の増加が見込まれている．