国頭村安波地区における神アサギの形態の変遷に関する一考察

摘要

伝統的な神アサギは図1 のように低い茅葺きの屋根と柱で構成される簡素な建造物である。こうした神アサギは本島で５例を確認できるのみであり，そのうちの1 つが国頭村安田にある（図1）。このような伝統的な神アサギを筆者は伝統型と呼ぶ。池浩三氏はこれを伏屋型，穴屋型，差屋型と細分類している 。こうした伝統型の神アサギから，第2 次世界大戦後，非伝統型（筆者の分類による）へと神アサギの形態は変容の一途を辿った。筆者はすでに伝統型の神アサギに近いほど固有信仰がその地域に色濃く残っている傾向を明らかにしたが，国頭村はそれが特に強い地域である。