東京・大阪の商業街路における建築ファサードを覆う広告看板の配置構成の特性: 秋葉原、銀座、新宿、道頓堀、日本橋、難波の比較を通して

摘要

現代の都市生活において、商業活動や身近な情報提供媒体としての広告看板は不可欠であるが、看板が乱立した魅力的とは言い難い景観は多い。看板の設計・設置においては、誘目性が重要視されるため、建物と看板との景観的調和について考慮されることは少ない。看板の景観への影響については、地域的特徴やSD 法等を用いた印象評価、ファサード上の面積比等に関する研究、色に関する研究が数多くなされ、一般に看板の多さが景観を害する原因の一つとして指摘される。しかし、看板が非常に多く乱雑にあるにも関わらず、その乱雑さそのものが一定程度景観の魅力的個性とみなされている場所もあり、広告看板もそのデザイン・配置や建物との関係次第では、魅力的な景観を形成する要素となる可能性があることが伺われる。本研究では、看板が景観構成上の主要な要素となっている東京及び大阪の各地域を対象として、建物ファサードに設けられた広告看板の配置構成を具体的に明らかにし、その特性およびどのような要素や条件がそこに影響しているかを考察することを目的とする。