添え筋ヒンジリロケーショント字形柱梁架構の構造性能その 2 実験結果

摘要

3. まとめ添え筋ヒンジリロケーショント字形柱梁架構の構造性能を確認することを目的として，柱梁接合部補強筋量と柱梁曲げ耐力比をパラメータとした構造性能確認実験を実施した。得られた知見を以下に示す。(1) ト字形柱梁架構にフック付添え筋を設けることで，良好な復元力特性が得られ，また，添え筋が応力を負担して危険断面位置が柱フェイス位置からフック筋折り曲げ起点位置に移動する効果が確認された。これは，既往の十字形柱梁架構の場合と同様であり，本ヒンジリロケーション工法をト字形柱梁架構にも適用することが可能であると考えられる。(2) 本実験の範囲においては，柱梁曲げ耐力比および接合部せh断補強筋量を低減した試験体においても，Rs=1/50rad.までは標準とした試験体と同等の構造性能を発揮した。ただし，大変形領域での耐力劣化を防止するためには，それぞれの余裕度を十分に確保することが重要である。(3) 等価断面モデルと一般梁モデルの復元力特性の比較から，本ヒンジリロケーション架構においては添え筋の剛性寄与を無視した一般梁モデルとして復元力特性を算出しても，復元力特性を評価可能であることが分かった。