ランダム振動環境との比較による衝撃試験の省略方法

摘要

人工衛星に搭載される搭載機器（コンポーネント）は、衛星分離または太陽電池パドル・アンテナ・センサ等の保持解放時に発生する衝撃の耐性を確認するため単体での衝撃試験の実施が要求される。衛星に搭載されるコンポーネントのうち、自身が衝撃発生源となるもの（火工品による分離機能を有するもの）以外は、上位システム側から提示される衝撃環境条件（試験スペック）を負荷する試験を実施する。衝撃源から離れた位置に搭載される機器や、保持解放がローショックデバイスによるものである場合、機器の衝撃環境は小さくなる。またコンポーネントが大型となる場合は、衝撃試験装置の能力や試験コンフィギュレーション等の問題から、衝撃試験実施自体が困難な場合もある。このようなケースにおいて、上位システムから規定される衝撃耐性確認の要求を満足しつつも衝撃試験自体を省略するテーラリングが必要とされる。本稿では、ランダム振動環境と衝撃環境とを比較して衝撃試験を省略する方法について述べる。具体的には、本方法はランダム振動環境から1 自由度振動系の加速度応答ピーク値を見積もり、ランダム振動環境がもつ衝撃に対する損傷可能性（衝撃損傷ポテンシャルと呼ばれる）を求めるものである。本稿では数値シミュレーション結果および実試験データから本方法の信頼性を示す。また、最後に衝撃試験省略の検討フローをまとめる。