集合住宅におけるグリーンカーテンに関する研究その3室内とバルコニーの温熱緩和効果と居住者意識の検討

摘要

本研究により，以下の点が明らかとなった。1) グリーンカーテン有の方が無より冷房使用時間が約4割少ない。2) 冷房不使用時の室内気温はグリーンカーテン有の方が0.6°C低い。3) グリーンカーテンの育成度によって，バルコニー空間の放射抑制効果の度合いも向上する。4) グリーンカーテン有の世帯は，バルコニー温度が室内気温より低い場合の冷房をほとhど使用しない。5) グリーンカーテン有の世帯は，バルコニー温度が室內気温より5°C以上高くなることはほとhどない。6) 本研究のグリーンカーテン実施者の意識は環境省調査より高い傾向があり，特に美観の満足度が高いが，育成後の後片付けの面倒さは本調査の方が高かつた。以上のように，グリーンカーテンの温熱緩和効果が定量的に明らかになつた。またグリーンカーテン有の世帯へは2.2で述べたように事前のアドバイスを行ったことで，室内の表面温度を上げない工夫を自ら行っている可能性も考えられる。実施者の意識については，温熱緩和効果による快適性以外に，美観などの要因が取組向上のきっかけとなる可能性も考えられる。今後は，グリーンカーテン実施による冷房使用時間低減効果を検証し，省エネルギー効果の見える化を行う必要がある。また，グリーンカーテン実施者の積極的な取組意識と行動について，より具体的な検証を行う必要がある。