ファン付き作業服を用いた熱ストレス低減化に関する研究(第8報)建設作業時の発汗量、脱水量、飲水量、およびWBGTの関係

摘要

均一環境温度での人工気候室の建設現場を想定した実験と運動現場では、VWWあり•なしに関わらず発汗量は飲水量に依存せずほぼ一定なので、飲水量を増やすことで、脱水量を低下させることができた。一方、実際の建設現場のVWWなしでは、WBGTの上昇に伴い発汗量が高くなつた結果、飲水量を増やしても脱水量は下がらなくなつた。建設現場ではWBGT30°Cでは発汗密度が15g/kghに、脱水密度は10g/kgh以上となり、既往文献の運動現場での2〜6g/kghの約2倍にも達する可能性がある。しかし、VWWでWBGTの上昇に伴う、発汗量の上昇を抑えることができ、飲水によって若干脱水量を低減できる。着衣体重測定を用いた発汗量•脱水量の予測に加えて、発汗量に影響する、簡易な測定による深部体温の予測法が開発されれば、作業員への負担が小さくかつ正確な、現場での熱中症予測が可能になると考えられた。謝辞データ解析にご尽力いただいた北海道大学工学院空間性能システム専攻修士1年の山田稜君に深謝します。