太陽光発電当日予測に基づく蓄電池システム•火力発電の協調運用における予測悪化の影響とその対策

摘要

我が国では太陽光発電（Photovoltaic generation,以下PVと表記）の導入が進hでおり，累積導入量は2017年末時点で49 GWに達しており，文献(1)では2030年の導入量は64GWとされている。電力系統の需給制御•運用においては，できるだけPV出力を有効活用するような経済性と，停電や余剰といつた需給不均衡の発生を回避する信頼性の二つを考慮することが重要である。筆者らは，これまでにPV出力予測情報と蓄電池システム（Battery Energy Storage System, BESS)を利用した電力系統の需給運用手法の開発に取り組hでおり，数ケ月から1年程度の長期間のシミュレーションにより手法の有効性を評価してきた。先行研究の文献(4)では，信頼性（停電）に対しては，数時間ごとに更新されるPV出力予測に基づく火力機の発電機起動停止計画（Unit Commitment, UC)の修正が効果的であることを明らかにした。また経済性（余剰）に対しては，数時間ごとに更新されるPV出力予測に基づく BESS充放電計画の修正が効果的であることが分かった。し力、し，文献(4)の提案手法では，PV出力予測が時間とともに悪化していくような日では，提案手法が有効でなく，大きな需給不均衡が発生する時間帯が存在していた。そこで本研究では，文献(4)の手法において予測悪化の影響で有効性が十分でないような時間帯においても需給不均衡を削減するため，数時間ごとに更新されるPV出力予測に基づく BESS充放電計画と火力機UCの作成•修正手法を改良•提案し，需給運用シミュレーシヨンによって評価する。