マタニティ・母子の見守り監視機能の検討

摘要

近年、産科医療施設は、二次医療機関の地域周産期母子医療センター、そして三次医療機関の総合周産期母子医療センターといった高次医療機関に集約されている。さらには、分娩施設数は減少傾向にある。2006 年～2016 年における10 年間の調査では、出生数の減少率は10.5％であるのに対し、分娩施設数の減少率が22.7％であり、出生数の減少率以上に分娩施設の減少率が大きいことが明らかである。都市部では集約化によって、高次医療機関へ通院することが可能になったが、非都市部では分娩施設数の減少と高次医療機関が消滅したため、妊産婦に与える影響は地域によって異なる。北海道の釧路・根室医療圏においては、都市部における高次医療機関との長距離化し、妊産婦の移動時のリスクが上昇する。また、日本の国土の約7割を中山間地域が占めているため、全国的に産科医療施設の集約化が進行した場合、妊産婦の通院に要する移動時間および移動距離を短くすることは不可能である。例えば、妊産婦の妊婦検診の受診では、通院に必要とする長距離移動において様々なリスクが生じる可能性がある。そして、妊産婦は長距離移動において「冬の交通事情に対する懸念」や「想定される長距離移動中の車内での突発的な事態」などの影響で、「物理的な距離があることでのぬぐえない緊張感」という身体的・精神的負担がかかる。長距離移動によって通院する妊産婦に対しての支援が必要である。