大規模イベントにおける混雑緩和のための行動介入手法の定量評価

摘要

スポーツイベントや花火大会といった大規模なイベントでは多くの来場者が見込め、イベント会場やその周辺エリアでは混雑が発生する。混雑が生じる事によって移動時間が大幅に遅れたり、人同士が押し合う事で雑踏事故が発生し時には死者が出る大事故にまで発展する。そのため混雑緩和を目的とした検討が多角的に行われている。たとえば、GPS やツイート情報を用いてイベント会場あるいは周辺エリアでの混雑状況を可視化するシステムの提案がされている。またでは、マルチエージェントシミュレータを用いて混雑状況の再現を行い、集団を適切に誘導することで混雑緩和に効果があると報告している。これらの検討から人の混雑度には空間的に偏りがあり、適切な誘導を行う事で混雑が緩和される事が期待される。そのため、人を効果的に誘導し、行動に介入する手法が重要である。本稿では、実際にイベント会場で実施されている行動介入手法の観測を行い、行動介入が行われている分岐路での各経路に向かう人数比率の時間変化を記録した。観測結果を元に現状の行動介入手法による効果について考察する。