pub/sub メッセージングにおける負荷分散性と低遅延性の適応的制御

摘要

pub/sub メッセージングは送受信者がbroker を介してデータのやり取りを行う通信モデルである．これまで，broker への負荷集中を回避するため，多数のbrokerにスケールアウトさせる手法について研究が為されてきた．しかしながら，従来の手法では，スケールアウトにより高いスループットが得られる一方で，分散処理のオーバヘッドとして配送遅延が増大する課題があった．本研究では，トピックベースpub/sub を対象とし，スケーラビリティと低遅延性の両立を可能とする適応的制御手法を提案する．提案手法では，多数のbroker によりオーバレイネットワークを構築し，高負荷のトピックでは関連するbroker 群で配送木を形成してマルチホップ転送により負荷分散を図る．一方，低負荷トピックについては，関連するbroker 群にシングルホップの局所オーバレイネットワークを形成させ，低遅延性を優先した配送を実現する．シミュレーション実験により，配送遅延の主要因子である転送経路長について，低負荷時には既存手法と比べ約60% 以上，高負荷時においても約20% 以上，短縮可能であることが明らかとなった．