豚耳標における体内伝導音からの生体情報抽出に関する検討

摘要

一般的に家畜は畜舎内で群飼養されることが多く, 呼吸器病などの罹患発見が遅れた場合,疾病の重症化や蔓延が起こる. これを防ぐ方法として, マイクロフォンとカメラを用いて, 郡単位での罹患の判定法が提案されている. しかし, 騒音による罹患判定精度の低下といった課題が考えられる. そこで我々は, 騒音に強い体内伝導音に着目し, 個体ごとの家畜の体内伝導音による罹患の判定手法について検討している.罹患時には, 心拍数や呼吸回数などの生体信号に変化があらわれる. 例えば, 豚繁殖・呼吸障害症候群 ウイルス (PRRSV)に感染した豚では, 3日後から呼吸が強くなり, 回数が減少することを検出している[5]. このような変化を把握することにより, 早期に罹患判定をすることが可能と考える. この中で, 体内伝導音から心拍や呼吸の情報を抽出する必要性が浮上してきた. そこで, 本発表では, 独立成分分析(IndependentComponent Analysis) と適応信号処理(AdaptiveLine Enhancer)を用いて体内伝導音から呼吸音と心拍を抽出することを試みた.