個人の前頭葉活動と価値観が道徳的意識に与える影響

摘要

近年，多様な考え方を受け入れる認知的多様性(コグニティブダイバーシティ)に注目が集まっており，チームで課題解決を行う際に，この認知的多様性のレベルが高いチームほど，高い成果を上げるということが分かっている．しかし，多様性が高くなると，異なる思想，宗教観，文化的習慣などが全く異なる人々が1つのチームに多く集まる可能性は高くなる．これに伴い，個々の価値観の相違から，道徳的な判断を要する場面において，チーム内に軋轢等が現れる可能性も考えられる．よって，多様性のレベルが高いチームを作る場合，チームを維持するにあたって，個人の認知や価値観が道徳意識や善悪判断に与える影響を知る必要がある．しかし，主観的指標による価値観の計測は多く行われているものの，定量的かつ生理的な指標を用いた計測はあまり行われていない．従って本研究では，生理指標として脳の働きを光トポグラフィにより計測し，人の認知や価値観がどのように道徳意識に関わるのかを定量的に明らかにする．