AIを活用したダム下流河川内の入川者自動検知プログラムの開発

摘要

ダム洪水吐ゲートからの放流開始前には，ダム操作規程に基づいてパトロール員が，数10kmに及ぶダム下流河川内の釣り人等の入川者一人ひとりに対して注意喚起することが求められる．発電トリップ時に，洪水吐ゲートから発電使用水量分を代替放流するダムでは，放流を開始する際のパトロール員の呼出しがクリティカルとなる．特に夜間は，パトロール員がダムに駆け付けて河川パトロールを開始するまでに約2時間を要し，その間に上流から発電使用のために流入する水量を貯留するだけの容量を貯水池内に確保しておかなければならい．つまり，貯水位を一定量下げた運用を余儀なくされているのが現状である．水力発電における発電量は流量と有効落差で決まることから，この運用では有効落差が減じることによる減電が発生している．