液状化による住宅の傾斜被害が健康障害に及ぼす影響: 2018年北海道胆振東部地震の事例

摘要

北海道胆振東部地震では，多くの住宅が液状化により傾斜し住人に健康障害があらわれた．家屋の傾斜が人々の生活や健康に与える影響は大きいことから，液状化による家屋の傾斜被害について明らかにする必要があると考え，液状化発生地域である札幌市清田区美しが丘を対象とし現地調査を行った．家屋の傾斜方向と傾斜角度を計測し，傾斜量の分布を地図上に示した．旧谷部・旧河川に位置する家屋が液状化被害を受けており，大きく傾斜している家屋は隣接していることが明らかとなった．加えて，家屋内部の傾斜量の計測，健康障害に関するアンケート調査を行った．これらの結果から，液状化により傾斜した家屋に住み続けている場合，頭痛やめまい，食欲不振などの症状があらわれていることが明らかとなり，家屋の傾斜は健康障害に大きく影響していると考えられる