画像認識を用いた着陸誘導精度向上の研究（その2)

摘要

災害時の地上観測を目的とする無人機には，簡 易な滑走路で離着陸可能な柔軟性が求められる.しかし現在のILSを用いた着陸誘導システムは地 上設備が必要で，迅速な現地展開に不都合である. そこで着陸進入時に画像認識技術を用いて滑走路 を認識し，飛行コースを修正することで着陸精度 向上を目指す.前回の研究ではFig.lに示したシス テムを用いた.使用する模型飛行機は小型である ため，画像認識を行うコンピュータシステムを搭 載できない.そのため、カメラモジュールから取 得した映像を無線で送信し，地上に設置したコン ピュータで画像認識を行う方式で設計を行った. Fig.2に地上システムを示す.指向性アンテナと映 像受信機で受信したカメラ画像をコンピュータに 入力し，解析結果をXBee無線通信モジュールで 機体に送信する.送信したデータを基に機体搭載 のマイコンが動翼のサーボモータを動作させる.このシステムで飛行実験を行った結果，映像にノ ィズが混入し，画像認識に用いることのできる品 質が安定して得られなかった.Fig.3に取得画像の 状態を示す.この原因としては，機体へのパイ口 ットコマンドを送信するプロボ等の電波帯域と画像送信ユニットの帯域が同じであり，混信が発生 した可能性が挙げられる.また，通信距離を得る ために指向性アンテナを使用したことにより，機 体姿勢の変化で指向方向が変わり，利得が減少したことも考えられる.このことから，電波でカメ ラ画像を地上に送信して解析する手法は，機体の 重量軽減には効果的であるものの，伝送における 信頼性に大きな問題が発生することが判明した.