地域への電力供給の変遷: 地産地消•スマートコミュニティ形成に向けて

摘要

21世紀に入り、世界の人口増加に伴う食糧、エネルギー、資源、インフラに対する需要増加の懸念からスマ一トコミュニティの概念が注目されているが、これはスマートグリッドに由来、発展してきた概念とされる。実際に近年、日本では、科学技術重要施策アクションプラン対象施策の一環として、経済産業省の次世代エネルギー•社会システム実証事業と総務省のスマートグリッドの通信インターフエイス標準化推進事業に基づき府省間連携で次世代エネルギ一•社会システム実証事業関係省庁連絡会議（内閣官房、総務省、国交省、農水省、環境省、文科省、経産省）で情報共有等が図られ、産業界を含むスマートコミュニティ•アライアンスにより、実証実験や標準化での連携を実施してきた。アムステルダム自由大学の概念では、「人的資源、社会資本、従来的インフラに加え、ICTインフラの投資をもって持続可能な開発と市民生活の向上を目指す」とあるが国際的な定義の統一はない。日本ではまずスマートコミュニティ·アライアンスにおいて「電気の有効利用に加えて、熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーの面的利用や地域の交通システム、市民のライフスタイルの変革等が複合的に組み合わされたェリァ単位でのエネルギー•社会システムの概念」と定義した~((1))。この定義を踏まえてスマ一トュミュニティの起源としては、「ハーワードの提唱した「田園都市」がゾ一ニングされた地域毎の人口密度の設定、大量輸送を実現する交通機関の適切な配置等、科学的（経済も含め）な都市計画の視点が貫かれており今日のスマートシティをはじめとした環境共生都市の計量可能性を先取りしていた」と指摘されている。こうした経緯を網羅的体系的に迪つた先行研究はほとhどないと見受けられる。そこで本稿では、田園都市からの地域•都市の変遷とそうした地域への電力供給の変遷について熱供給も含めて電気事業の創業期から現在に至るまで迪る。その際に地球温暖化問題や災害対応としての分散型電源の適性の高まりによる地産地消の視点並びにICT技術の活用によるスマートュミュニティの進展の視点に特に注目する。またこうした変遷に影響する法規制とそれによるビジネスモデルについても言及し、欧米との比較をも踏まえて、現状の課題、ニーズ、関連する教訓等を明確にすることを目的とする。