段階的なシステム刷新を狙いとしたシステム構造の再形成方式

摘要

社会インフラシステムや企業基幹システムは，その性質上，従来の性能や信頼性を維持しつつ社会やビジネス環境の変化に追従することが求められる.しかし，数十年前に構築されたこれらのシステムは，今の社会やビジネス環境の変化に追従しきれない場合がある.近年の動向調査においても(1)(2),半数を超える企業が保有するシステムに技術面の老朽化，システムの肥大化•複雑化，ブラックボックス化等の深刻度の大きい問題があるレガシーシステムを抱えていると回答しており，ステムの刷新が望まれている.ところが，実装言語の古さやシステム構築当時を知る有識者の退職のため，改修を繰り返し，肥大化•複雑化したシステムは現状調査すら難しい場合がある.また，レガシーシステムを刷新する際は，開発当初には想定していなかつた新しい要件の追加実装が加わることも多い.特に昨今はIT技術の進化やビジネスモデルの変化も早く，ステムに対するニーズも日々変わっていく状況のため，システムの刷新を決定したとしても，刷新中に要件が変わることもあり得る.これより，しい要件を加えながら，レガシーシステムを刷新することは容易ではない.