仮想陰極発振器における炭素繊維陰極とベルべット陰極の大電力マイクロ波特性比較

摘要

本研究では，ベルべットカソードとカーボンファイバーカソードを用いた仮想陰極発振器におけるマイクロ波特性の比較を行った。カーボンファイバー力ソードは優れた周波数特性を示す一方，最大電力では，ベルべットカソードに及ばなかった。また，各力ソードの電流密度はいずれも～100A/cm~2であった。カーボンファイバーカソードは，ベルべットカソードと比較して高い電流密度の電子ビームを生成可能な性能を持っており，200A/cm~2を超える電子ビーム生成を達成した報告も複数ある。本実験ではその性能が十分に発揮されておらず，十分な性能を発揮させるには，カソードの面積を小型化し，カソード表面から均一に電子放出させることが1つの方法として考えられる。連続ショット実験では，各力ソードにおいて異なるマイクロ波特性が観測された。カーボンファイバーカソードはベルべットカソードと比較すると最大マイクロ波電力密度は低いが安定している。一方，ベルベットカソードは150W/cm~2を超える高いマイクロ波電力密度を得られるが安定性は劣る。これは，電子ビーム損失によって生じる熟の影響によるもので，カーボンフアイバーはその熱の影響がプラスに作用したためであると考えられる。