オープンコモンを持つ戸建て災害公営住宅における 居住者の近隣との関係に関する研究: 東日本大震災における岩沼巿玉浦西地区を事例に

摘要

2011年3月11日に発生した東日本大震災から8年が経過した。災害公営住宅供給や防災集団移転促進事業などにより住宅復興が行われたが、環境移行による近隣関係の希薄化が予想され、被災者の孤立化や孤独死といつた問題の発生が懸念されている。阪神淡路大震災では都市部の「借家」形式の住宅が被害を受けた為、コレクティブハウジングなどの共用部を持つ住宅団地が計画されたのに対して、本震災で被害を受けた東北地方沿岸部では「戸建て」「持ち家」形式が多く、災害公営住宅建設においても戸建て形式が採用された。住戸の内外を一体的に利用する様な開放的で独立性の高い従前の生活スタイルから、災害公営住宅団地のような住戸規模が小さく、住棟間隔も狭くなった集団での生活スタイルに変化することで、外部空間を複数住戸で共同利用することとなった。その際に、外部共用空間がどのように利用されるかということについてはまだ検証されていない。