混合割合を変更したCO_2/O_2/C_5F_(10)Oの熱力学•輸送特性と減衰アーク特性の数値解析

摘要

ガス遮断器は，超高圧送電系統での大電流遮断に適用されている。超高圧送電系統で短絡事故が発生した際，短絡大電流が流れる。この大電流を遮断するために，ガス遮断器では，電極間のアークプラズマに対してSF_6ガスなどの消弧ガスを高速で吹き付けることでアークを消弧している。SF_6ガスは，利点として空気の100倍程度という圧倒的に優れた遮断性能を持つ。その一方で，地球温暖化係数（GWP)がCO_2の22800 - 23900倍と非常に高く，排出抑制対象ガスに指定されている。以上の事から，SF_6の使用量および排出量の抑制を目的として消弧室のアーク消弧性能向上，またはSF_6代替ガスの研究開発が盛hである。近年，代替ガスとしてCO_2/O_2とフルオロケトン（C_5F_(10)O)系材料の混合ガスおよびCO_2とフルオロニトリル（C_4F_7N)系材料の混合ガスが注目されている。C_5F_(10)Oは，標準状態（25°C, 1 atm)で液体であり，CO_2，N_2，空気などの低液化温度のバッファガスと混合して用いられる。混合ガスの使用では，熱解離•会合プロセスで他の気相化学種に代わることが考えられる。すなわち，大電流遮断後にガス温度が常温に戻つても，元の気相分子に戻らないことが考えられる。このような代替ガスの物理化学理論に関する議論がなされる一方で，CO_2/O_2/C_5F_(10)O混合ガスの遮断性能に関する議論は不十分である。SF_6フリー消弧ガス実現のため，CO_2/O_2/C_5F_(10)O吹付けアークの消弧現象のより詳細な理解が必要である。