送信用アレキサンダーソン型高周波発電機

摘要

現在から100年も昔，電子計算機や高精度な数値制御工作機械が無い時代に，現在の発電機技術に照らし合わせても遜色の無い，高度かつ広範囲な電気•機械技術を駆使し，かつ短期間で世界一の製品を独自に開発したことは，芝浦製作所のみならず材料メーカ等含むわが国の当時の工業レベルの高さを証明するものである。通信史の中で高周波発電機式送信機は，技術の変遷によりその貢献期間は10数年と比較的短期間であつたが，第一世界大戦後の激動する世界の中で，需要の增した海外長距離通信を支えた重要な技術であった。現存する125kVA機は，世界最大容量機そのものではないが，国産第一号機であり，かつ世界最大容量機の実現に大きな役割を果たした発電機である。また，文献からは，開発に携わった技術者の技術に対する真摯な姿勢がうかがわれ，その成果としての本発電機は，将来の若い技術者にも伝承していくべき産業遺産としてふさわしい機械であると考える。